再利用の賢者は強くない
2014年10月2日 TCG全般 コメント (4) ~再利用の賢者~
再利用の賢者が登場してから、もうすぐ3か月になる。
M15発売以降、再利用の賢者はほぼすべてのエルフデッキでメインから投入されており、それまでヴィリジアンのシャーマンが担っていた「置物破壊」という役割をそっくりそのまま、いや今まで以上に果たしているといえるだろう。
環境に相殺、石鍛冶といった再利用の賢者が活躍できる主要カードがあること、サイドから疫病やMortといった置物にも触れることが再利用の賢者をメイン採用に至らしめている理由だ。
再利用の賢者はエルフに採用するに足るパワーがある。
それは間違いないだろう。
だが、再利用の賢者は本当に強いのだろうか?
今日は当たり前のように採用されている、再利用の賢者について考えていきたい。
1.再利用の賢者はなぜ採用されるのか?
環境のTire1にトリコミラクルがいる。そして相殺を割れないと積むので、賢者は必要になる。また、石鍛冶デッキの十手やバター、ローグの置物に対してメインから触れるというのもポイントだろう。採用理由を大雑把にまとめると、「1番強いデッキと石鍛冶デッキに強いから積まれている」となる。
レガシーのメタはTier1にトリコミラクルとデルバー系、SnTがいて。Tier2に石鍛冶、Elves、その他コンボが続く。一番強いデッキとほかのデッキに対して、1スロットで対策をとれるというのは、十分採用に値する理由だ。
2.再利用の賢者は強いのか?
では、再利用の賢者は強いのだろうか?
私は強くはないと思う。
理由は「置物を破壊するという役割を、果たす性能が高くない」、「 対象範囲が狭いので、裏目が出やすい」という2点だ。
※ここでの強いというのは「代用が効かないカードか」、「効果的でない場面がどれぐらいあるか」 、「求められている役割を果たせるか」といった、ユーティリティーとしての強さ
まず「 置物を破壊するという役割を、果たす性能が高くない」について。
ユーティリティーを採用する場合は、採用したカードが役割を果たせるかという「役割遂行能力」が重要になってくる。
例を挙げるとすれば「クローサの掌握や突然の衰微は軽く、カウンター耐性がある」ので役割遂行能力が高い。逆に「引き裂く突風や虚無魔道士の番人はカウンター耐性がなく、重い」ので、役割遂行能力が低いとなる。
賢者はカウンター耐性が無いので、相殺や装備品を割るときに妨害されやすい。また、1枚差しなのでサーチする必要があるが、サーチする場合は4マナと重いカードになる。エルフは土地が18枚前後のものが多く、除去や妨害をされるとマナが伸びずらい。序盤や全体除去後に賢者は重いし、妨害されやすいというのもマイナスポイントだ。更にソーサリータイミングでしかプレイできないので、十手を壊す前に1度殴られてしまう。
また、エルフが破壊したい置物に「墓堀りの檻」と「謙虚」、「JtMs」がある。特に、墓堀りの檻は採用デッキも多い割に効果が高いので、きちんと破壊したい。だが、賢者では檻と謙虚を壊しづらい。賢者は1枚差しをサーチして使うことが前提だが、檻が出ていればサーチできない。謙虚はCIPが誘発しない。JtMsは対象にすら取れない。 壊したい置物を壊せないから、賢者は役割遂行能力が低い。
次に「対象範囲が狭いので裏目が出やすい」について。
いきなり話が飛ぶが、相殺はミラクルの強カードだ。だが、相殺にデッキが依存しているというわけではない。ミラクルが強いのは、「豊富なライブラリー操作に裏打ちされたコントロール能力」があるからだし、エルフがミラクルを苦手とするのもコントロール能力が高いからだ。
仮に賢者で相殺を壊したとして、終末で盤面を流した後、JtMsでドローを繰り返されれば挽回できなくなる。また、そもそも相殺が無くても1対1交換を繰り返していればアド差や天使でミラクルは勝てる。さらに相殺を割るために賢者キープをしても、終末→JtMsというパターンだと裏目がある。
檻についても同じようなことがいえる。たとえば、BUGデルバーに檻を入れたとする。BUGが檻を出せる出せないにかかわらずエルフは檻への対策を要求される。対策カードは賢者で、ほかにはオーダーを減らすといったことが考えられるだろう。
BUGデルバー側は檻を出せればサーチを止められるし、クロックへの避雷針になる。出せなくても相手の賢者が腐るので、入れ得なカードだ。そして、エルフは素引き以外で賢者をプレイできないし、引いたとしても相手が檻を出さずにビートする裏目がある。
このように、賢者の対象が「エンチャントかアーティファクト」と狭い為に、PWや生物に対しての裏目がある。裏目の出やすさも賢者の弱さと言えるだろう。
3.賢者に代わるカード
さて、散々賢者の悪口を言ったが、代わりに何を採用すればいいのだろうか?
私は「大渦の脈動」を採用すべきだと思う。
大渦の脈動/Maelstrom Pulse
(1)(黒)(緑)
ソーサリー
土地でないパーマネント1つを対象とする。
それと、そのパーマネントと同じ名前を持つ 他のすべてのパーマネントを破壊する。
ここまで賢者の求められていた役割は「 置物の対処」で、「 生物や賢者で触れない置物が出た時に裏目がある」ので強くないと言ってきた。脈動ならPW、謙虚、生物、檻、天使すべてに触ることができる。非常にカードパワーが高い代替品だろう。
賢者との違いは「共生虫で戻せない」、「サーチできない」といったところだ。だが、「共生虫で戻せない」については、そもそも共生虫が生き残らないし、生き残っているなら十手やバターもキャッチできるので無視できる。
「サーチできない」については、単純に枚数を増やすということで解決できる。もともと檻が出ていたり、妨害をくらうとサーチはできない。なら、相手への妨害力や対処能力を強化する観点から、「 衰微4と脈動2」をデッキに積むべきだろう。
4.エルフとドロー
さて、また話が変わる。
諸君はエルフの長所はなんだと思うだろうか。
おそらく多くの者が「マナ加速能力」と答えるだろう。
確かにマナ加速能力は強力だが、それだけでは足りない。
エルフの長所は「ドロー能力」にある。
「 ワイアウッドの共生虫」と「 エルフの幻想家」。
これらの組み合わせは良く見かけるものだろう。
だが、この組み合わせがどれほど強力か考えてみてほしい。
「毎ターン2ドロー+1マナ軽減+毎ターンチャンプ」という破格の性能だ。
ライフルーズのないボブよりも強く、ジェイスよりもハンド増加量は多い。
レガシーの代表的なドローはブレストだが、ハンド量は増えていない。
ポンダーや定業も同様だ。
「相手より多く引いて、多くプレイすれば、物量で勝てる」
エルフには、単純明快な戦術を、実践するドロー能力がある。
物量で勝負する限り、エルフに勝るデッキはない。
だが、相手より多くドローしても勝てない場合がある。
それは何故だろうか?
それはエルフが1対1交換をできていないからだ。
パワー1のエルフが並んでも、4/5タルモからの攻撃はしのげない。
エルフを数並べても十手やラバマンで出た端からエルフを焼かれ、JtMsでドローを稼がれる。
チャリスや相殺によって、引いたカードを無駄牌にされる。
マナを攻められて引いたカードをプレイできなくなる。
これらの要因によってドロー能力が無駄になっている。
コントロール以上のドロー能力があっても、こんな無駄使いをしていれば勝利はできない。
では、どうすればいいのか?
答えは簡単だ。
1対1交換をできるカードを入れればいいのだ。
1対1交換ができるカードとはなんだ?
「突然の衰微」と「大渦の脈動」だ。
「タルモ」も「相殺」も「JtMs」も「ラバマン」も「十手」も「チャリス」も「天使」も「デルバー」も。
すべて1対1交換が出来る。
1対1交換ができれば、物量で勝るエルフが勝つ。
「衰微」と「脈動」によって、新たなエルフの可能性を垣間見れるだろう。
なぜそのカードを入れるのか?
そのカードに求めている役割はなんなのか?
あたりまえと思っているところから、見つめなおす。
カード選択の理由を考えると、デッキの新たな可能性が見えてくる。
エルフに必要なのは「腐った賢者」ではない。
エルフに必要なのは 「物量戦略を後押しできる大渦の脈動」だ。
再利用の賢者が登場してから、もうすぐ3か月になる。
M15発売以降、再利用の賢者はほぼすべてのエルフデッキでメインから投入されており、それまでヴィリジアンのシャーマンが担っていた「置物破壊」という役割をそっくりそのまま、いや今まで以上に果たしているといえるだろう。
環境に相殺、石鍛冶といった再利用の賢者が活躍できる主要カードがあること、サイドから疫病やMortといった置物にも触れることが再利用の賢者をメイン採用に至らしめている理由だ。
再利用の賢者はエルフに採用するに足るパワーがある。
それは間違いないだろう。
だが、再利用の賢者は本当に強いのだろうか?
今日は当たり前のように採用されている、再利用の賢者について考えていきたい。
1.再利用の賢者はなぜ採用されるのか?
環境のTire1にトリコミラクルがいる。そして相殺を割れないと積むので、賢者は必要になる。また、石鍛冶デッキの十手やバター、ローグの置物に対してメインから触れるというのもポイントだろう。採用理由を大雑把にまとめると、「1番強いデッキと石鍛冶デッキに強いから積まれている」となる。
レガシーのメタはTier1にトリコミラクルとデルバー系、SnTがいて。Tier2に石鍛冶、Elves、その他コンボが続く。一番強いデッキとほかのデッキに対して、1スロットで対策をとれるというのは、十分採用に値する理由だ。
2.再利用の賢者は強いのか?
では、再利用の賢者は強いのだろうか?
私は強くはないと思う。
理由は「置物を破壊するという役割を、果たす性能が高くない」、「 対象範囲が狭いので、裏目が出やすい」という2点だ。
※ここでの強いというのは「代用が効かないカードか」、「効果的でない場面がどれぐらいあるか」 、「求められている役割を果たせるか」といった、ユーティリティーとしての強さ
まず「 置物を破壊するという役割を、果たす性能が高くない」について。
ユーティリティーを採用する場合は、採用したカードが役割を果たせるかという「役割遂行能力」が重要になってくる。
例を挙げるとすれば「クローサの掌握や突然の衰微は軽く、カウンター耐性がある」ので役割遂行能力が高い。逆に「引き裂く突風や虚無魔道士の番人はカウンター耐性がなく、重い」ので、役割遂行能力が低いとなる。
賢者はカウンター耐性が無いので、相殺や装備品を割るときに妨害されやすい。また、1枚差しなのでサーチする必要があるが、サーチする場合は4マナと重いカードになる。エルフは土地が18枚前後のものが多く、除去や妨害をされるとマナが伸びずらい。序盤や全体除去後に賢者は重いし、妨害されやすいというのもマイナスポイントだ。更にソーサリータイミングでしかプレイできないので、十手を壊す前に1度殴られてしまう。
また、エルフが破壊したい置物に「墓堀りの檻」と「謙虚」、「JtMs」がある。特に、墓堀りの檻は採用デッキも多い割に効果が高いので、きちんと破壊したい。だが、賢者では檻と謙虚を壊しづらい。賢者は1枚差しをサーチして使うことが前提だが、檻が出ていればサーチできない。謙虚はCIPが誘発しない。JtMsは対象にすら取れない。 壊したい置物を壊せないから、賢者は役割遂行能力が低い。
次に「対象範囲が狭いので裏目が出やすい」について。
いきなり話が飛ぶが、相殺はミラクルの強カードだ。だが、相殺にデッキが依存しているというわけではない。ミラクルが強いのは、「豊富なライブラリー操作に裏打ちされたコントロール能力」があるからだし、エルフがミラクルを苦手とするのもコントロール能力が高いからだ。
仮に賢者で相殺を壊したとして、終末で盤面を流した後、JtMsでドローを繰り返されれば挽回できなくなる。また、そもそも相殺が無くても1対1交換を繰り返していればアド差や天使でミラクルは勝てる。さらに相殺を割るために賢者キープをしても、終末→JtMsというパターンだと裏目がある。
檻についても同じようなことがいえる。たとえば、BUGデルバーに檻を入れたとする。BUGが檻を出せる出せないにかかわらずエルフは檻への対策を要求される。対策カードは賢者で、ほかにはオーダーを減らすといったことが考えられるだろう。
BUGデルバー側は檻を出せればサーチを止められるし、クロックへの避雷針になる。出せなくても相手の賢者が腐るので、入れ得なカードだ。そして、エルフは素引き以外で賢者をプレイできないし、引いたとしても相手が檻を出さずにビートする裏目がある。
このように、賢者の対象が「エンチャントかアーティファクト」と狭い為に、PWや生物に対しての裏目がある。裏目の出やすさも賢者の弱さと言えるだろう。
3.賢者に代わるカード
さて、散々賢者の悪口を言ったが、代わりに何を採用すればいいのだろうか?
私は「大渦の脈動」を採用すべきだと思う。
大渦の脈動/Maelstrom Pulse
(1)(黒)(緑)
ソーサリー
土地でないパーマネント1つを対象とする。
それと、そのパーマネントと同じ名前を持つ 他のすべてのパーマネントを破壊する。
ここまで賢者の求められていた役割は「 置物の対処」で、「 生物や賢者で触れない置物が出た時に裏目がある」ので強くないと言ってきた。脈動ならPW、謙虚、生物、檻、天使すべてに触ることができる。非常にカードパワーが高い代替品だろう。
賢者との違いは「共生虫で戻せない」、「サーチできない」といったところだ。だが、「共生虫で戻せない」については、そもそも共生虫が生き残らないし、生き残っているなら十手やバターもキャッチできるので無視できる。
「サーチできない」については、単純に枚数を増やすということで解決できる。もともと檻が出ていたり、妨害をくらうとサーチはできない。なら、相手への妨害力や対処能力を強化する観点から、「 衰微4と脈動2」をデッキに積むべきだろう。
4.エルフとドロー
さて、また話が変わる。
諸君はエルフの長所はなんだと思うだろうか。
おそらく多くの者が「マナ加速能力」と答えるだろう。
確かにマナ加速能力は強力だが、それだけでは足りない。
エルフの長所は「ドロー能力」にある。
「 ワイアウッドの共生虫」と「 エルフの幻想家」。
これらの組み合わせは良く見かけるものだろう。
だが、この組み合わせがどれほど強力か考えてみてほしい。
「毎ターン2ドロー+1マナ軽減+毎ターンチャンプ」という破格の性能だ。
ライフルーズのないボブよりも強く、ジェイスよりもハンド増加量は多い。
レガシーの代表的なドローはブレストだが、ハンド量は増えていない。
ポンダーや定業も同様だ。
「相手より多く引いて、多くプレイすれば、物量で勝てる」
エルフには、単純明快な戦術を、実践するドロー能力がある。
物量で勝負する限り、エルフに勝るデッキはない。
だが、相手より多くドローしても勝てない場合がある。
それは何故だろうか?
それはエルフが1対1交換をできていないからだ。
パワー1のエルフが並んでも、4/5タルモからの攻撃はしのげない。
エルフを数並べても十手やラバマンで出た端からエルフを焼かれ、JtMsでドローを稼がれる。
チャリスや相殺によって、引いたカードを無駄牌にされる。
マナを攻められて引いたカードをプレイできなくなる。
これらの要因によってドロー能力が無駄になっている。
コントロール以上のドロー能力があっても、こんな無駄使いをしていれば勝利はできない。
では、どうすればいいのか?
答えは簡単だ。
1対1交換をできるカードを入れればいいのだ。
1対1交換ができるカードとはなんだ?
「突然の衰微」と「大渦の脈動」だ。
「タルモ」も「相殺」も「JtMs」も「ラバマン」も「十手」も「チャリス」も「天使」も「デルバー」も。
すべて1対1交換が出来る。
1対1交換ができれば、物量で勝るエルフが勝つ。
「衰微」と「脈動」によって、新たなエルフの可能性を垣間見れるだろう。
なぜそのカードを入れるのか?
そのカードに求めている役割はなんなのか?
あたりまえと思っているところから、見つめなおす。
カード選択の理由を考えると、デッキの新たな可能性が見えてくる。
エルフに必要なのは「腐った賢者」ではない。
エルフに必要なのは 「物量戦略を後押しできる大渦の脈動」だ。
コメント
>ひ
あっ…(察し)
しーッ!ヒミツヒミツ!何にも書いてないよ!
昨日チャネルありがとございました。
今月は分からいですが、たまにはヴィンテージ大会にも顔出します。